株式投資とケインズ
 株式投資の基本は「会社を応援する」ことです。応援している会社が売上を伸ばし、利益を上げていく、そのような成長をしていくことに期待を寄せて投資をしていくのです。ところが、応援する会社を見つけるのは難しいことです。第6回で応援する会社を見つける方法として「今、就職したい会社」を考えるのも一案と紹介しましたが、これはあくまでも自分を中心に会社を選ぶ方法です。今回はステップアップとして株式投資というのは「他人がどう考えているのかを考える」ことも大切であるということの話をしたいと思います。

例を挙げてみていきましょう。

ここに、新発売の携帯電話が5種あったとします。今、人気投票をして一番人気のある機種を選びます。そして、人気1位になった機種に投票をした人はもれなくその携帯電話をもらえる、ということになっています。さて、どういう基準で投票すればいいのでしょうか。もちろん、自分の好みで投票することは結構なのですが、自分の好みが世の中の好みと一致しないことはよくあることです。どうしても、人気No.1の携帯電話を手に入れたいと思うのであれば、多くの投票者がどの機種を選ぶのであろうかを考えて投票することが大事になってきます。敢えて自分の好みを抑えて、なるべく客観的に判断する力が求められるのです。

実は、この問題は「ケインズの美人投票」として有名です。ケインズは戦前の世界恐慌の時に登場した経済学者です。そのケインズ博士も株式投資は好きだったそうですが、株式投資の銘柄選びには私たちと同じように苦労したそうです。悩んだ挙句、銘柄選びのコツとして思いついたのが美人投票の考え方だったわけです。つまり株式投資では、自分の好みや考え方もさることながら、他人の考えをどう読むのかも大切になってくるのです。

自分が応援してみたい会社は自分だけが気に入っているのか、他の投資家もその会社のことを応援したいと思うのかどうか。また、多くの投資家が応援したいと思う会社はどういった会社なのであろうか、と考えることが投資には必要になってきます。別の見方をすると広い視野を持ち、回りの状況をしっかりと判断できる力が大事であるとも言えます。

自分のことしか考えられない、他人の気持ちを理解しようとしない人が増えてきた現代では株式投資の達人が少なくなっていくのかもしれません。

(2004/04/02川口一晃)


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